14.ザ・シャープ・ファイブ

(文中敬称略)
井上宗孝とシャープ・ファイブ




ゴールデン・ギター


天才ギタリストの三根信宏が在籍していた、井上宗孝とシャープ・ファイブ

グヤトーンのシャープ・ファイブモデルから繰り出される三根信宏のギターの音色にエレキ少年たちは虜になった。

シャープ・ファイブの前身は、'64年に解散したウエスタン・キャラバンというロカビリー・バンドのメンバーが中心となり、シャープ・フォークスに合体され結成されたバンド。
紀本ヨシオ、シャープ・フォークスのバック・バンドで活動を開始し、その後、演奏メンバーがシャープ・フォークスより分離しシャープ・ファイブとなりました。
三根信宏が、ブルージーンズに参加できなかった理由は、既に寺内タケシで紹介済みです。

メンバーは、井上宗孝(Ds)、三根信宏(LG)、前田 旭(RG)、秋山 功(BG)、古屋 紀(O)の5人。
その後、秋山 功と前田 旭が'67年に脱退。'74年に三根信宏が脱退。古屋 紀の脱退年は未把握。
伊藤昌明(BG)が'69年まで参加しその後脱退、そして、西島 純(BG)が加入。山内英美(RG)が参加。天野浩二(LG)が参加。
※秋山 功は、リリーズを結成。前田 旭は、ターマイツを結成。三根信宏は、渡米し帰国後ディックスに参加。古屋 紀は、フレッシュメンに参加。

シャープ・ファイブは、'66年9月20日キングより「ゴールデンギター/渚の乙女」でレコード・デビューしました。A、B面共にエレキ・インスト曲。
シャープ・ファイブの草創期は、井上宗孝がリーダーとして纏め、主な編曲を古屋 紀が担当し、リード・ギターで天才ギタリストの三根信宏が表現し、音源を確立しました。いわゆるシャープ・ファイブ・サウンドの完成です。
LP盤の「春の海」、「四季」等は世界的にも評価が高く、ミリオンセラーとなりました。
コロンビア時代には、前田美波里がリリースした「ふたりの浜辺」でもバッキングを務めています。

クリアーで延びのあるサウンド、アームダウン奏法、正確なスクリューのような手首回転を駆使するトレモロ奏法、哀愁のある表現力、完璧なピッキング、どれをとっても世界に誇る美音色を奏でられるのは、三根信宏は天才ギタリストです。

シャープ・ファイブはメンバーの多少の離合集散はありましたが、確立された音源は今もなお健在です。
東京サウンド株式会社が、製造販売している名器のギター『シャープ5』は、卓越希な技術で三根信宏の音色を支え続けてきました。
三根信宏が脱退した後その後継者として、素晴らしい音源を開花させたのが天野浩二です。天野浩二はシャープ・ファイブの奏法を完璧にマスターし、レパートリーに幅を持たせ、チャレンジ精神で新しいファン層を日本中に獲得しました。

簡単に、シャープ・ファイブの歴史を書き記しておきます。
'64年4月 ウェスタンキャラバン解散。シャープホークスと合体
'65年3月 三根信宏が参加(寺内タケシとブルージーンズに入りたかったが、諸般の事情により断念した)
'65年6月 フジテレビ系『勝ち抜きエレキ合戦』放送開始。井上宗孝とシャープ・ファイブが模範演奏バンドとしてレギュラーに
'65年8月 バンドの名称を井上宗孝とシャープファイブと改める
'66年9月 シャープ・ファイブのデビュー曲「ゴールデンギター」をリリース
'66年12月 三根信宏が、シャープ・ファイブモデル・プロトを使用開始
'67年3月 シャープファイブ、シャープホークス、バニーズ等が意気投合し、全国各地を公演するビートキャラバンをスタート(5月までの3ヶ月間)
'67年4月 グヤトーンよりシャープ・ファイブモデル発売開始
'68年11月 井上宗孝とシャープ・ファイブがリリースしたLP盤「春の海」がチャートの第1位に
'74年   三根信宏が脱退し渡米 天野浩二がリード・ギターとして参加
'92年5月 森林コンサートで、シャープ・ファイブが再結成し演奏を
       メンバーは、古屋 紀(Key)、天野浩二(LG)小林正和(Ds)、保山道夫(SG)、竹原浩史(BG)
'92年5月 シャープ・ファイブ・コレクション・コンサート(新宿セントラルパーク)
       メンバーは、古屋 紀(Key)、天野浩二(LG)、小林正和(Ds)、保山道夫(SG)、竹原浩史(BG)、ゲスト:三根信宏(LG)
'92年8月 道の日コンサート(川崎市産業振興会館)
       メンバーは、古屋 紀(Key)、天野浩二(LG)、小林正和(Ds)、保山道夫(SG)、竹原浩史(BG)
'94年   井上宗孝&シャープ・ファイブコンサート(中野サンプラザホール)
       メンバーは、井上宗孝(Ds)、三根信宏(LG)、山内英美(RG)、古屋 紀(Key)、伊藤昌明(BG)、小林正和(Ds)、保山道夫(SG)
'94年   グヤトーンより『シャープ5モデル』'94年モデルとしてリニュアル発売
'98年8月 荒川花火大会でサンセット屋外コンサート
       メンバーは、三根信宏(LG)、古屋 紀(Key)、天野浩二(LG)、小林正和(Ds)、竹原浩史(BG)
'98年12月 寺内タケシ&ブルージンズと芝メルパルクホールにて共演
       メンバーは、三根信宏(LG)、天野浩二(LG)、小林正和(Ds)、竹原浩史(BG)、村田修(Key)、安田一平(RG)
'99年5月 寺内タケシ&ブルージンズと神奈川県民ホールにて共演
       メンバーは、三根信宏(LG)、天野浩二(LG)、小林正和(Ds)、竹原浩史(BG)、村田修(Key)、安田一平(RG)


井上宗孝とシャープ・ファイブは、デビューから解散までに次のシングル盤12枚をリリースしています。
「ゴールデンギター/渚の乙女」'66年9月20日発売、「追憶/ドライヴィング・ブルース」'66年12月1日発売(以上、キングより)、「白い雲の彼方に/遠い海よ」'67年4月20日セブンシーズより発売、「旅がらすロック/恋路」'68年3月発売、「網走子守唄/夏に消えた恋」'68年7月発売、「哀愁の六本木/孤独な少女」'68年10月発売、「海の想い出/明日を信じて」'69年7月発売(以上、コロンビアより発売)、「第九/月光」'70年10月1日発売、「月光仮面は誰でしょう/田園」'71年5月発売、「男の世界/帰らない夏」'71年6月発売、「京都慕情/京都の恋」'71年7月発売、「トラトラトラ/栄光のルマン」'71年8月発売(以上、キャニオンより発売)



井上宗孝とシャープ・ファイブの音源

さくら

六段

さのさ節

ドナウ河の漣

神の手を持つ天才ギタリストの三根信宏

三根信宏のギターは、クリアーで延びのあるサウンド、アームダウン奏法、正確なスクリューのような手首回転を駆使するトレモロ奏法、哀愁のある表現力、完璧なピッキング!
三根信宏の簡単な経歴を先ずは書いておきます。(文中敬称略)

三根信宏は、'45年1月25日に歌手ディックミネの三男として誕生しました。4才の時に父親からウクレレをプレゼントされ、弦楽器と初めて出会います。
7才で、ギター、ドラム、ベースも始めました。15才でプロのギタリストとして横須賀の米軍キャンプのステージに初出演します。
'61年、平尾昌晃が率いるハンドボーイフレンドに参加。
'63年、自らがバンド・リーターとなり、ブルーファイヤーを結成。寺内タケシからブルージーンズにベース演奏者としてスカウトされるが辞退。
'64年、井上宗孝とシャープファイブに参加。エレキブームの中心的存在となりギター・リストとして一世を風靡する。テレビレギュラー番組に多数
    出演。
    数々のレコードをリリースし、LP盤の「春の海」はコロンビアの大スター(美空ひばりなど)を押さえセールスのトップ賞を獲得しました。
'74年、29才の時、ギターの腕に磨きをかける為、心機一転渡米しました。
'75年、アメリカから帰国後、バンドザ・ディックスを結成し、赤坂のミカドを始め超一流クラブの華やかなステージに出演。三根サウンドを披露し
    多くのファンを魅了。
'94年、中野サンプラザホールで開催された、再結成したシャープ・ファイブのコンサートに満員の観客を魅了しました。 グヤトーンより、三根信宏
    オリジナル・ギターのシャープ5モデル、'94年モデルとしてリニュアル再発売しますが、生産が追いつかない程の売れ行きとなりました。
'97年、三根信宏ソロアルバム「THAT’S MINE」をビクターよりリリース。初回プレスした5000枚が即日完売しました。
'98年、寺内タケシとブルージーンズと芝メルパルクホールで共演。
'99年、寺内タケシとブルージーンズと神奈川県民ホールで共演。現在も都内ライブハウスや全国各地にて演奏活動中。



三根信宏の音源の完成は、シャープ・ファイブ時代に確立されたのですが、編曲(古屋 紀が担当)が凄く洒落ていました。小気味良いサイドギター(前田 旭)のカッティング、ジャズテイスト溢れるオルガンソロ(古屋 紀)、自由自在なビートのドラム(井上宗孝)、センスが良くバカテクのベース(秋山 功)。
そこに天才の三根信宏のギターソロが絡まってシャープ・ファイブ・サウンドが完成しています。シャープ・ファイブのメンバー全員が、ジャズ指向だったのが洒落た音楽の要因だと思いますが。

海外で今でも人気のアルバム「春の海」で聴かれる三根信宏の速弾きのギターのフレーズも凄いがその正確な音色が素晴らしい。
※「春の海」は、シャープ・ファイブ時代、'68年11月に日本コロンビアより発売されています。
収録曲は、A面・春の海、六段、千鳥の曲、奴さん、越天楽/B面・さくらさくら、祇園小唄、木遣りくずし、さのさ節、春の海

三根信宏のギター・サウンドは、全体的に甘くやわらかい音色で聴くモノを魅了します。そして、一転して凄いテンポ(「熊ん蜂の飛行」等)で華麗に弾きまくり、クリアーで伸びのあるサウンド、効果的に使われるハーモニックス&アーミング。更に、アームダウン奏法、トレモロ奏法での完璧なピッキングは凄いの一言です。
更に、現在ではエフェクターは必須周辺機器ですが、エフェクターなし、ギター1本で聴く人に感動を与えることが出来るギタリストです。
様々なジャンルの音楽で、変幻自在に繰出されるギターのアドリブは聴くモノの心を魅了しています。

三根信宏の奏でる音色は「美音色=ミネカラー」と称されていていますが本当に素敵です。
最後に、三根信宏のポリシーは、「美しい音」を心掛けてギターを弾く事。

三根信宏 美 音 色

熊ん蜂の飛行

井上宗孝とシャープ・ファイブ レコード・ジャケット集



'07年10月08日現在画像up作業中



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